岡田有希子28回忌

　ここ数年、人生がドタバダしている、仕事がうまく行かなくて右往左往、今は
五反田でなんとか頑張っている。４月８日なんていつもは桜の季節なのに、今年
はもう葉桜だ。意味不明の研修で遅くなったが、それでも四谷四丁目を目指す。
　駅前のきりしまフラワーは普段あまり利用しない（裏道を入ると住宅街にひっ
そりとやっている花屋で買うことが多い）のだが、もう21時前、他の花屋は空い
てない。当然この付近の花屋で「岡田有希子用」と言えば通じる、ピンクのカー
ネーションで花束を見繕ってもらう。もう何十年もこの習慣が続いている、だか
ら花束は自分にとっては死者を弔うためのもの、生きている好きな女性に捧げる
ことには抵抗感を感じるようになっていた。四谷四丁目の韓国文化院は大使館に
昇格したのか。
　さすがに21時を回り、元サンミュージックビル（今はサラコーポレーションと
か言う知らないタレント事務所の看板に変わっている。ただ、屋上のクリナップ
の看板は27年前の当時から変わっていない）前にあまり人はいない（それでも周
囲をぐるぐる回ったり、現場で軽く頭を下げる姿がちゃんとあった）。それでも
道の花壇にはいくつもの花束。同じように花束を手向け、おそらく同じように合
掌する。もう近所の人でも事件を知らない人がいるんだな、合掌していたら誰か
死んだんですか？と聞かれた。
　普段は曙橋まで歩くのだが、今年は素直に四谷三丁目駅に戻る。反対側のプ
ラットホームに行く階段の場所を知らないことに気づく、これまでほとんど四谷
三丁目駅に戻ったことがないんだなあ、沈んだ気持ちを散歩して冷まさないと帰
る気にならなかったと言うか。
　そういえば、学生時代に一度だけ二人連れで四谷四丁目詣でしたことがあるな
あ（それ以降は完全に単独詣でである）。アイツは元気にしてるかなあ、多分普
通に結婚して、いまだに現場に来ることはないだろうけど。