４月とは思えぬ寒くて冷たい風。今年は花見もしてないし（もちろん
だんごも食べてない:-)）、まだ春が来たようには思えない。しかし、
いつもこの日は毎年そんなにいい天気じゃなかった。
　今年で１４回忌を迎えるユッコの命日の前にちょっとした出来事があっ
た。ファンならご存知の通り、３月１７日に「メモリアルＢＯＸ」と言
うコレクションアルバムのＣＤがリリースされたことだ。そして、長い
こと待ち望んでいた真のラストシングル「花のイマージュ／秘密のシン
フォニー」がそのＢＯＸセットの中の１枚としてついに公式発売された
ことである。僕は２回忌だか３回忌だかの時にサンミュージック前で親
衛隊長さんらしき人に聴かせて頂いたことがあるので、とりたてて新鮮
な印象はないが、当時のユッコの“新曲”が聴けたことには感無量の思
いがある。
　その３月１７日と言えばまた、安室奈美恵さんの母、平良恵美子さん
が惨殺されたという悲報が日本中、いや世界中を駆け抜けた日でもある。
こちらも安室さんのファンとして深い悲しみが襲ったことは言うまでも
ない。自分の人生がごく平凡なのに比べて、僕がファンになるアイドル
アーティストにはヘヴィな運命の持ち主が多いのか？と自問した。

　１３年もの月日が経っているのだ、そういう意味では今は彼女は「過
去の思い出のアイドル」でしかない。事実、今は今現在形のアイドルの
ファンである。しかしそれでも今年もこうしてちょっとした供花を持参
してサンミュージック前に参拝に訪れた。早い時間で人通りが多いと照
れくさいので、次の日に回せる仕事をやって残業し、９時過ぎに客先を
出て９時４５分頃目的の場所に到着した。
　多分、無意識のうちに「彼女の分まで生きなければ」と言う義務感が
植え付けられているのかもしれない。僕は元来、生を肯定的に捉えてい
る人間ではない、しかし最後のところで思いとどまらせているものは何
か？
　逆に、吹っ切れないままあの頃と同じ時間を過ごしている、と言う気
もする。もちろん他の女の人を愛せない、と言った極端なトラウマはな
いものの、世の中が信じられなくなったのはあの頃からだったように思
う。
　僕にとって彼女の死は何だったのだろうか？個人的主観の中で考えて
みても堂々巡りしかしないし、かと言って第三者に分かるというもので
もない。とりあえず沈痛な表情（僕の？ユッコの？）を和らげるために、
今年は明るめの花を選んだ、夏を感じさせるような明るい花を。