シベリアのシャーマニズムを研究するために読んでみた。結果的にシャーマン
の生活には触れていたが、シャーマニズムの儀式についてはほとんど触れられて
いない。そりゃそうだ、地域宗教であるシャーマンの儀式をおいそれとよそ者(日
本人であれロシア人であれ、その宗教の信仰者でない限り)に見せる訳がない。
それでも、シベリアの奥地と言う、西洋文明に汚されていない地域独特の慣習
や思想に触れることはできた。
シベリアと言うのは思いの外多文化地域である。よそ者を警戒する一方で、そ
もそも土着民族の人口が少なくポーランドだのジョージアだの入植者も多く、宗
教も多様。ムスリムがロシア正教会で礼拝とか、かなり自由。場所によつては、
こんな僻地で５ヵ国語が飛び交う。
もちろんガスや電気のない生活をしている人がたくさんいて、さらに厠に行く
にも熊に注意、と言う環境である。達観した人々の暮らし、政治の良し悪しうん
ぬんではなく、警察もほぼいない無法地帯、そういう生活を覗いてみたくなる。