奥日光を京都にたとえるなら、大原のようなところだろうか。温泉目的なら
鬼怒川の方が人気ありそうだし、スキー場にもまだ積雪量が十分でない。とい
うことでうらびれた観光地と言う感じがいい感じ、おなか空いてたのに適当な
食堂がないのが残念だったが。帰りのバス（当然始発）、最初は自分ひとりだっ
た。冒頭で書いた通り、やや強行軍的なスケジュールでここまで来たので、帰
りのバスではかなり熟睡した。特にいろは坂を下る辺りでね。と言うわけで、
これはこれで骨休みになったようだ。
　東武日光駅前のレストランでやっと食事にありつく。日光は湯波が有名との
ことなので、ゆばラーメンとゆば餃子のセット（笑）を頼んでみる。安っぽい
割に妙にキンキラハデハデな内装が二流観光地っぽくてよい。湯波自体は味の
ある食べ物ではなかったが（甘くないかんぴょうみたいなもの）、ラーメンが
まっとうな味でよかった。東京じゃこういう普通のラーメンって食べられない
からね。で、絵ハガキなんか書いてみたり。
　ＪＲ日光線で宇都宮へ。初めて乗る線だから景色を楽しみたいものの、すで
に外は真っ暗、MDと雑誌と言ういつものスタイルで車内の時間を過ごした。
　宇都宮で新幹線に乗り換え。ここで銭湯でも探そうと思ったのだが、どうや
ら駅周辺地図に載っている区域内に銭湯はないらしい。あきらめて新幹線に乗
る。今思うと、もうちょっと宇都宮を散策してもよかったかもしれない。更に
浅草で入りたい銭湯があったので探して、結局なしのつぶて、ちょっと終わり
方がきれいじゃない旅になってしまったなあ。その代わり、蔵前から全線開通
した大江戸線に乗って帰ってきた。

　と言うわけで、これが僕の二十世紀最後の旅行。冒頭で、冬の華厳の滝を見
たかった、と書いたが、それにも増して小学校の修学旅行で行った場所を再確
認したかったと言う、ある意味自分の原点探しでもあった。そういう区切りの
旅行のつもりだ。確か、大学卒業寸前の頃も、自分の原点探しの旅（幼少時代
にすごした街の探索など）をしていた。そういう意味では、人生の節目の区切
りをつけたい、と言う思いがあるのは少なからず意識している。そう言えば、
筑波万博で出した“２１世紀への手紙”は今度の元旦に封印が解けるのであろ
うか。当時大学生だった僕は初恋の人にラブレターをしたためたと言うコッ恥
ずかしいことをやっているので、結構溜息交じりに迎える正月なのだが（苦笑）。
　とにかく、今回の旅は空間的な旅と言うより、時間的な旅の色合いが濃かっ
た。２４年前の自分との出会いの場であり、と同時に、２４年後にまた来よう、
と言う、簡単そうだが壮大な夢を抱いたのだった。