さて鵜飼に到着、どこまでも続く海岸線の風景、美しい田畑（焼畑シー
ズンらしく、あちこちで田圃に火が付いているのを見かけた）と森の風景
が続く中、突如現れる海上の奇景。列車からも一瞬確認が出来、さて鵜飼
駅を下車して現場へ向う。鵜飼駅にはコインロッカーもなく、仕方なく大
荷物を背負って目的地へ。ちょうどツール・ド・ノトと言う長距離自転車
レースの選手たちが私の行く道をどんどん追い越していく、リュックを前
と後ろに背負った姿でこちらはちと恥ずかしかった（苦笑）。見附公園を
越えるといよいよ見附海岸、そして目の前に見附島が。その姿は想像以上
の迫力、実物は高さ３０ｍはありそうな断崖絶壁の島、やはり銭湯壁画と
ホンモノでは存在感の違いを思い知らされる。絶壁には当然樹木は生えず、
だがその一方頂上には樹木が生い茂った状態のため、まるでハゲ頭にカツ
ラをかぶったような滑稽さがある。とにかく、生で観るとかなりの奇景、
去年の初春に観た吉見百穴と並ぶ面白い風景。でも絶壁の奇景に関しては
福井の東尋坊の方が有名なんだろうか。そんな奇景を私が面白がる一方で、
ここは縁結びの神様が奉られているようで（かつてはあの絶壁の上に神社
があったと言う！誰がどうやって建てたんだ？）、沢山の若いカップルが
ラブラブな表情で記念写真を撮っていたりするものだから、余計に滑稽に
みえてしまう（カップルの皆さん失礼！）。岩道が島まで続いているが、
途中で途切れている。おそらく干潮時には地続きとなるのだろう。と言う
わけで、海水浴客はさすがにいなかったが、割と有名な観光スポットであ
ることは理解できた。
　駅に急いで戻る、次の列車でこの線の終点、蛸島へ向う。列車を待つ間、
女子高生４人組がかしましい。果たして蛸島駅は、実に寂れた駅だった。
ここの長居は辛そうだな、お昼を取ろうと思っていたがそんなお店はなさ
そうだ、と言うことで、目的地の弁天島を見学したらさっさと戻ろう。こ
ちらも見附島ほど有名ではないが、銭湯壁画のモチーフとしてよく見かけ
る場所。途中で通った公園に巨大な亀のオブジェがあり、笑いを誘う（と
言うか怖い！）。更に日曜で人気のない漁港を通り抜け、１ｋｍくらいは
ありそうな長い艀（はしけ）を渡ると弁天島に辿り着く。かなり歩いたが、
こちらは見附島とは打って変わって何の変哲もない平凡な島の風景。７〜
８分でぐるりと１周してしまった。駅へ戻る。このような気動車線の尻切
れ終着駅は久留里線の上総亀山駅以来だな。２つ戻り、珠洲（すず）へ。
こちらは少しは開けているので、食事のできる店があるだろう、と思った
が、辛うじて１軒、喫茶店があるだけだった。:-) 旅もいよいよ後半、１
日１往復しかない急行列車、のと恋路号に乗る。和倉温泉でサンダーバー
ド号に乗り換えるものの、ここからは金沢まで途中下車なしで直行。結局
１日能登半島で過ごしてしまった。半島の広さを実感。
　金沢には６時前に到着、寝台特急・北陸の発車まで４時間強。お土産の
買物をしたりした後（それにしても金沢の街は広かった、徒歩じゃ兼六園
にも行けやしない（爆））、最後はやはり金沢の銭湯で締めくくろう。

　笠市町２・笠市湯感想。

　２日間の強行日程（一人旅はいつだって強行日程だが:-)）、疲れと、
そしてもう帰らなければならない寂しさとで気力が残っていない。夕食は
金沢駅ビルの寿司屋で締めた。一番美味しかったのはネタではなくお吸い
物だったりして（苦笑）。待合室で最後の日記を付ける、テレビの「ある
ある大事典」がうるさく、ＭＤウォークマンを使わないと集中できない。
ホームには寝台特急北陸号と電車急行能登号が並んでいる。どちらもほぼ
同じ時刻（北陸号は能登号の３分後に発車）に同じ目的地・上野に向うが、
学生の頃ならともかく、寝台無しの夜行列車に乗るなんてタフだなあ、と
思う。でもレディースカーが付いているため、意外と女性に人気のようだ。
これまで寝台特急は平日（の往路）でしか乗ったことがなかった。帰りは
楽したいので新幹線や飛行機を使うのだが、今回は行きが軽井沢寄り道の
ため高速移動手段を使えなかったため、帰りに寝台列車に乗る。平日はお
年寄りの利用客ばかりだったが、３連休のような日には若者、家族連れも
多く、個室Ｂ寝台は満杯だそうだ。私の寝台も上下対面全て埋まっており、
恥ずかしいので早々にカーテンを閉めてしまう。早い話、旅の疲れで寝台
列車に乗れたことのソワソワした気分がなく、早々に就寝となった。そし
て、朝は６時１９分には終点、上野に着いてしまう。と言うわけで、今回
の寝台特急の旅は殆ど寝てるだけだった。ついでに言うと、列車の睡眠は
浅く、帰宅後も昼寝しないと身体が持たなかった（泣）。

期間限定写真集：めがね橋と和倉温泉

期間限定写真集：奥能登