軽井沢・碓氷峠と能登半島・見附島

第１話・出発から和倉温泉旅館到着まで

　８月は黙っていてもレイヴ、ミュージカル、コンサートなどで週末が
埋まり、あらためて長期休暇を取る気がしなかった。９月に入り、３連
休が２回続くので、前半は野暮用（部屋の整理とか）にあて、後半に旅
行しようと考えた。目的地は軽井沢・碓氷峠と能登半島・見附島。前者
はこれまで西武鉄道・安比奈線、新潟交通・月潟駅、と回った、仲谷か
おりさんの“廃線ヌード”の背景となった地の最後のポイント。後者は
銭湯の壁画で丸山師が好んで描くモチーフで、是非一度実物を見てみた
い、と思った風景。仕事の方は、なんとか製造フェーズ、テスト準備フェー
ズが完了し、いよいよ来週からテストフェーズへとこぎつけた。これか
らはますます予定の立て難い日々になるとは思うが、とりあえず順調と
言っていい。
　前日は９時に帰宅、家事（洗濯＆クリーニング他）を済ませ、ちょっ
とだけDJingもして（Underworldの新譜が出て、能登半島でまたイビザに
旅行したときの気分を取り戻したいな、と思ったので）、結局いつもと変
わらぬ２時就寝（苦笑）。翌朝は６時半起床、荷物を背負って家を出る。
秋晴れの良い天気に恵まれた、電車も順調で、東京駅は新幹線発車の２０
分前に到着。
　7:52東京発の長野新幹線であっという間に９時過ぎには軽井沢。目指す
は碓氷峠のめがね橋。次の電車は12:59、約４時間の軽井沢滞在だ。とこ
ろが駅の観光案内にはどれにもめがね橋のことが書かれていない。この、
こじゃれたハイソなイメージの避暑地に、鉄道廃墟なんて観光スポットで
はないのかもしれない。案内所のオバサンに尋ねたところ、駅から１５〜
１６ｋｍあるという。車で３０分だ。これはとても徒歩で往復できる距離
ではない。かと言って、タクシーを使えば楽に１万円は越えるだろう。旅
先で予想外の出費はリスクが大きいので避けたい。駅前に貸し自転車屋が
あったが、碓氷峠は禁止とある。３０分近く悩み、ランニングで行くこと
にした。本来は和倉温泉の宿で朝ジョギングするために用意したウェアと
シューズだったが、こんなところで使うことになるとは思わなかった。
　ということで、登山ラントレーニングよろしく碓氷峠のジグザグ坂道を
走る。自動車やバイクはそこそこ通るが、さすがに走っているのは私だけ。
たまに自転車で山越えしている人がいる、夫婦で徒歩のカップルも１組い
た。片道１５ｋｍということは往復３０ｋｍ、無理なら途中で引き返せば
いいや、と言う気持ちでのチャレンジ。行きは下りのため、意外と距離が
出た。９ｋｍ地点の標識が３０分で通過できたので、これは行ける、と思っ
た。途中、野生のサルに遭遇。これにはビックリした。だって結構大きかっ
たからね、襲われたらコワイよ（でもこっちもサルみたいなもんだが:-)）
　ちょうど１時間くらい走ったところで最初のレンガ橋が現れた。これは
感動だ、こんな山深い中のスポットに走って辿り着いたのだから。めがね
橋はそこから更に１ｋｍ先、これまでのレンガ橋とは大きさが段違いに大
きかった。このような山奥にある廃墟は、つい１０年前までは現役であっ
たにもかかわらず、まるで古代の遺跡のようだった。多の見学者はいずれ
もバイクツーリングのグループだった。しかし１時間以上もかけておきな
がら、もう時間がない、１０分足らずでその場を後にし、再び碓氷峠を駆
け上がる。今度は上り坂、行きのときのようなペースでは走れない（もち
ろんそれを見込んで限界時間は考えていたが）。練習不足、準備不足は否
めず、５ｋｍくらいから歩きが混じるようになった。これが普段の登山ラ
ン練習ならそのまま歩きつづければいい、しかし今日は旅行中の身、次の
列車に間に合うよう戻る必要がある。お腹も減り、喉も渇いた。と言う訳
で最後の手段、生まれて初めてヒッチハイクを試みた。乗せてもらったの
は裕福そうな老夫婦、こちらのことを信用して頂き、心地よく乗せて頂い
た。ただ乗りするつもりはなかったのでお礼をしようと思ったが、先方は
受け取ってくれなかった。そのお金は老夫婦の忠告通りお弁当（釜めし）
になった（笑）。駅に着いてもしばらく呼吸の荒さが治まらなかった。着
替えるのが面倒臭くなって、そのまま新幹線に乗る。幸い車中はメチャす
き状態だったので、車内で着替えさせてもらった（笑）。あっという間に
長野到着、乗り継いだ信越本線普通列車は込んでいた。まぁ地方の普通列
車なんて少しすれば皆降りてすくものだが、何しろ今日は３連休の初日、
他の客も皆旅行者でなかなか空かない（苦笑）。３０分くらいしてようや
く何とか座れたが、さすがに碓氷峠で死ぬ思いをした後だったので、立っ
ていることが辛かった、車窓から見える黄金色の映える稲穂の風景に、こ
こはいったいどこ？状態に意識をトバしていた（爆）。やっと先ほど買っ
た釜めしにありつけた。睡眠は乗車残り２０分くらいから（疲れがひどい
とかえって眠れないものだ）。直江津で３分後発車の列車に乗換、実に接
続がいい。車窓からは９月ぶりの日本海が見えた。車掌に金沢で途中下車
できるか、と尋ねたところ、出来ない、とのことなので、高岡で下車する
ことにした。もちろん銭湯巡りのためである（笑、碓氷峠での汗もあった
し、和倉温泉まで待てないよ）。

　高岡市・和倉湯感想。

　高岡からは普通列車（快速含む）の旅、乗換毎に途中下車、と言っても
何もないんだけどね。そしてようやく和倉温泉に到着、ここはもうワンマ
ンカーのディーゼル列車の世界。思えば遠くへ来たもんだ、である。駅か
らはタクシー、３メーターで７２０円。あぁ、派手さのない落ち着いたい
い旅館だ＞おくだや。部屋に通してもらい（「るり」という部屋）、荷物
を置き、浴衣に着替えて１階宴会場（と言っても、２０人も入ったら一杯
と言う大きさ）で夕食。こちらもまた派手さはないが美味しいものが並び
（特筆すべき物は何かな、強いて言えば刺身か？まぁ何もかも美味しかっ
た）、ご飯を４杯もおかわりしてしまった（笑）。他の客は男女２組、中
年夫婦のフルムーンかと思いきや、実は社員旅行らしい（笑）。地味で良
いなあ（そればっか）。では、和倉温泉に入ってみますか。

　温泉の感想。