入院１日目

　どんな形であれ、入院と言うのは誰でも人生の節目になる。僕の場合、退職と
言うタイミングで手術を決意したので、むしろ退職が本来の人生の節目だが、多
くの人は逆に病や怪我のために仕事をやめたり長期休職したりすることがきっと
多いのだろう。すでに長期休職＆退職を通って来たのでそういう感慨は僕にはな
いが、それでもこうした眠り慣れない病院のベッドに横たわっていると少しは人
生を振り返ってみたくもなる（休職期間中はLifetime Chartを作成しながらこれ
までの人生を振り返ったりあるいはメンタルカウンセリングで性格分析の一環で
子ども時代の振り返りをしたりしたが、ノスタルジアな気分にはあまりなってい
なかった。そういえば今年は高校時代の同窓会が２件もあった）。
　都会のど真ん中（お茶の水）でも住宅街ならそれなりに静か、でもないか、工
事現場の騒音が聞こえてくる。好天に恵まれ、あまり日常的には意識していな
かった秋の気配を感じた。
　手術は恐怖でもあるが、これまで度重なる頭痛から解放される期待の方が大き
い。とはいえ、蓄膿だけが頭痛の原因と言う訳ではないかも知れない、と言う不
安は少しある。一昨日の健康診断で視力の低下を嘆いたが、これもまた頭痛の原
因になりつつある。
　そんな今日も頭痛だ。とりあえず病院に入院してしまえば激しい活動はないか
ら問題ないが、日常的作業はかなり億劫になるレベル。PCは持って来なかったの
で暇潰しは読書しかないが、やはり読書は進まない。そして、昼間寝過ぎたため
に夜が眠れなくなるのも心配。
　昼食はまだ病院食と言う感じではない。しかし明日の手術日は朝抜き、昼も術
後でゼリー程度、夕食も粥で一番きつそうだ。
　麻酔担当医、手術執刀医の説明がバラバラと。話の内容は緊張するが、そうは
言っても一流の病院の手術だ、心配せず全面的にお任せする他ない。ただ、今回
の治療だけでは頭痛の原因は取り除けない、と言う可能性も出てきて不安。
　風呂は共同浴槽ではなく交替制のユニットバス。昨日久しぶりの家風呂に入っ
た（銭湯ヲタは当然銭湯がデフォ）が足が伸ばせないのが苦痛。ここはさすがに
足は伸ばせるが、やっぱりでかいお風呂がいい。
　何と言うか、不安は通り越していて悟りの境地にいる感じ。こういう心境は人
生にそう何度もある訳ではないので、しっかりと記憶しておきたい。