自転車交通事故

　案件システムの大きなリリースを無事終えて迎えた最初の週末、それな
りに予定はあるが（マラソンレースや、ライブや、名簿作りや、その他雑
用が沢山）、ここはやっぱり羽を伸ばしたい、銭湯巡りとクラブ遊びの予
定を立てて自転車を恵比寿、青山方面へ。
　以前から青梅街道を走るのは怖いと思っていた。道幅が広く、車が飛ば
して走るからだ。しかし、事故の相手は来るまではなく横断歩道を渡る自
転車だった。その意味ではこちらの不注意、幸い先方は自転車を降りて押
していたので大きな怪我はなかったようだが、こちらはブレーキを掛ける
余裕もないまま衝突、ぶつかって吹っ飛んだ後、意識があると言うこと以
外は自分がどうなったのか分からない状態だった。鼻の下から血が出てい
ること、あと額も怪我をしていることは痛みから分かった。身体の方は特
に痛みもない。相手の女性は公衆電話に救急車を呼びに行った後、ティッ
シュをくれた、そのティッシュでぼくは鼻の下の出血を拭いた。軍手はか
なり真っ赤な血に染まっている、マフラーやトレーナーにも血がついてい
る（トレーナーは今日初めて着たばかりだ）。相手が女性だったのは不幸
中の幸いだろう、これがヤクザなニイチャンだったら、怪我の身に更に罵
倒暴言が飛んできたかもしれない（まぁ相手に怪我をさせていたら女性で
もヤバいけど）。
　５分くらいして救急車が到着、怪我の状態を質問される。その間に警察
も来た。自転車は救急車には載せられないので警察に預かってもらうこと
に。相手の女性はそのまま警察に向ったようだ。救急車が発車すると、後
ろの窓のカーテンが自動で閉まった。
　とりあえず立って歩ける。中野総合病院で治療を受ける。強い明りを浴
びるので、目をつぶって下さい、と言われた。更に頭部のレントゲン、こ
ちらは少し待たされた。待っている間、「本当だったら今頃風呂の中だよ
なあ、なんでこんな所にオイラいるんだろう？」と溜息交じりに思った。
幸い、脳の内部に異常はなかった。蓄膿症も気になったが、素人目には直っ
ているのかいないのかよく分からなかった（多分まだまだ副鼻腔には膿が
溜まっているようだ、今朝も軽い頭痛がしたからね）。
　今回は単なる怪我ではない、交通事故なのだ。帰りに看護婦さんから、
「これから杉並警察署に行って下さい」と言われた。大久保通りでタクシー
を拾い、署へ向う。交通課では先ほどの女性が取り調べを受けているよう
で、僕は廊下の待合コーナーで尋問を受けた。分かっていることとは言え、
やはり自分の非を咎められると辛いものだ（特に相手が警察だからそう思
うのかもしれないけど:-)）。幸い先方も特に怪我はなさそうだし（肩を打
撲した程度だそうだ）、こちらも骨折などの重傷ではなく（実は前歯がぐ
らついているのだが）保険の範囲で治療できる、と言うことで、物損事故
扱いにしてもらった（事故証明を描くだけで、処罰はなし）。まぁお金の
面、面倒の面でも最良の選択だったとは言える（とは言え、相手は若い女
性、器量も悪くなかったのでそのままお友達から、なんて不純なことも考
えた:-)いやマジで性格の良さそうな子だったし、結構本気でもったいない
ことをした、と思っていたりする）。そのままタクシーで帰宅。
　翌朝、目が覚めたら１１時近く、病院には１１時に来るように言われた
が、その一方で佐川急便と荷物受取の約束もしている、これがヤマト運輸
だったら９時には来るのに、佐川だと全然来ない。しばらく待っても気配
がないので、１１時４０分頃シビレを切らせて出かける。１２時過ぎに病
院に到着、結局１時間半も待った後、形成外科の先生は待ちくたびれて帰っ
てしまい、別の先生の応急治療のみで終ってしまった。
　その足で東高円寺の蚕糸の森前派出所に預けていた自転車を取りに行く。
足腰は全然問題ないので徒歩で。自転車は無事受取れたが、ブレーキが曲
がって前輪が効きっぱなしになっている。仕方なく押して帰る。自転車屋
さんの前も通った、そのまま直してもらっても良かったのだが、しばらく
自転車は乗りたくない、故障中と言うことで封印してしまおう、と言うこ
とであえて修理に出さないことにした。
　何しろ顔じゅうにバンソウコウを貼っている状態、街を歩くのはやはり
恥ずかしい。事故後はまだ食事をしていない。場末の蕎麦屋で力うどんを
食べた。３時頃だったので他の客はいなかった。久々にテレビで酒井美紀
を見た、ささやかな幸せ（笑）。
　家に帰り、パソコン作業を始めた。その頃になってようやく佐川急便が
来た。そのあと名簿作り、外出しなくてもやることはいっぱいあった。７
時半頃、別の場末の蕎麦屋で再び力うどん。２日ぶりに銭湯に行って（入
浴して大丈夫なのか、傷口の腫れがひどくなったりしないか、と言う心配
も若干あるものの、このまま寒い体で布団に入っても風邪を引いてしまう）、
そのまま就寝。
　翌朝、再び病院へ向う、もちろん今日のマラソンレース（江東シーサイ
ドマラソン）はキャンセルだ。その前に朝食、馴染みの喫茶店でモーニン
グを食べる。なんか今日はまぶたが腫れている、高円寺でこんな顔して歩
いていたら、ヤクザとケンカしたんだろう、と思われるに違いない（実際
ヤクザな怪我の仕方だとは思うが^^;;）

　冒頭でもちょっと書いたが、青梅街道は怖い、つまりいつかは事故が起
きてもおかしくない、と思っていた。クラブも場合によっては危険な場所
かもしれないが、僕の場合は夜中に自転車で向う途中で事故に遭遇する危
険性の方が高いと分かっていた。幸い、相手が車ではなかったので生死を
さまようような事故にはならずに済んだ。その意味ではちょっと高い授業
料を払ったのだと思った。おそらく、しばらくは怖くて自転車には乗れな
いだろう。その結果、クラブ遊びに行くのも億劫になってしまうかもしれ
ない。小さいことかもしれないが、やはり事故は人生を変えるものなのだ、
幸い仕事が出来なくなるような重大なものではなかったので良かった。
　こういうのって普通の人には不幸な出来事と写るんだろうな。事故なん
て普通に考えれば予想外のことだから。ところがオイラの場合、今書いた
通り心の奥で覚悟していた節がある。つまり起こるべくして起こったこと、
と考えている。むしろトラブルを楽しんでいる節さえある（システム運用
担当者をやっていると、ヒマよりもトラブルがあった方がいい、と心のど
こかで思うらしいが、まさにそれだ）。もしかしたら直っても顔に傷痕が
残るかもしれないな、だが不良中年にとってはいい勲章かもしれないな
（って、悪ガキの勲章かもしれないがいい大人の勲章でもないような:-)）。

　待つこと２時間、やっと形成外科の先生に見てもらった。幸い、まぶた
が腫れているのは打撲のせいで、ばい菌のせいではないと分かって一安心
（でも上唇は相変わらず腫れているのだが）。１個所だけ縫ったが、あと
は薬で自然治癒を待つ治療となった。
　帰り道、証明写真ボックスを見かけた。そう言えばインターネット検定
受験証用に撮らないといけないことを思い出した。でもこの顔だと恥ずか
しいな。通過してしばらく歩いたが、よく考えてみたら顔じゅうバンソウ
コウだらけ、目は腫れ、こんなヒドイ顔になることは滅多にない、面白い
ので記念写真を撮るのもいいんでは、と思い、引き返した。戻ってみると
誰かが撮影中だったので、高円寺に戻ってから撮影した。自分の顔のこと
なのに、他人事のように楽しんじゃってる自分（爆）。