第６１回富士登山競走

　そもそも前日２４日に緊急リリース作業の予定が入ってること自体ヤバかった
し、更に前夜には東北で大地震があったり、今朝は東西線トラブルがあったり
（ＪＲで出勤）、ＭＤウォークマンのバッテリーが切れたり、とイヤな前兆は出
尽くした。結局リリース作業は順調に行き、すれ違いになるかと思われた長年お
世話になった高橋さんともギリギリでお会いすることができたし（ちょうどこの
日が送別会で欠席なのだが、最後くらいお会いせねば、と思っていた。それにし
ても彼にはホント感謝です、でも何もお返しできなかったなあ）、最初の一言が
「リリース無事済んで良かったですね」です、ホント頭上がらないです）、富士
五湖戦最終便バスに乗ることができた。１８時のバスだともっと若い人が多いが
（おそらく富士急ハイランドが目的）、さすがに最終便では年配の人が多い。新
宿と言えばいわゆる最先端の都会だが、バスターミナルの周辺だけは上野駅的な
旅情が漂う。ここには故郷の匂いと言うか、夏休みの匂いがあると言うか、そん
な感じ。考えてみれば、田舎のない自分（本籍が東京）にとっては、このレース
の参加で富士吉田に向かうことがちょっとした里帰りみたいなものかもしれな
い。この時期は暑さがピークだが、普段はバテていても、ここに来るとこれから
始まるレースを意識して、力がみなぎって来るのを感じる。
　バスが走る中央高速道は日野辺りを過ぎると真っ暗、家路を急ぐ自動車がもっ
とあるのかと思っていたが。２２時過ぎに富士吉田到着、宿ではすでに消灯。軽
くシャワーを浴び自分もすぐに寝るが、梅津さんのイビキが（笑）。ビジネスホ
テルで一部屋４人がザコ寝ってのもスゴいな（笑）。
　４時半起床、確かに東京よりは涼しいのだが、しかし朝食を食べながらも汗を
かく、こんなことは初めてだ、今年の富士山は暑すぎる。更に、今年からスター
ト時刻が３０分繰り上がって７時になったことをこのとき気がつく。ジャージを
忘れてきたのもショックだったが、準備の時間が短くなり、更にいろいろ忘れ
る、股間急所へのワセリン塗りとか（長距離ランでは摩擦でケガになることがあ
る）。スタート地点の富士吉田市役所に向かう間にも汗をかく、ちょっと異常
だ。会場に着き、ウェアにゼッケンを安全ピンで留めるのもなんだかテンパって
上手く行かない、おかげでやり直すハメに。スタート地点ではピストル台にいろ
いろな人が交互に立ってエイエイオーをやる。素に考えるとちょっと恥ずかしい
が、富士山頂上を目指すランナーたち一人一人のオーラがそんなことを超えさせ
る、オイラも仲間に入ってエイエイオー。
　７時スタート、町内チャイムと花火も同時に鳴り響く。やはり暑い、５分くら
いは浅川さんに着いていくが、やがて離される。力の差もあるが、マジで暑さで
バテてる。旧刑部旅館の場所で待っていた小原さん、梅津さんに手を振るも、か
なり後ろの方なので苦笑いしながら通過。中野茶屋を過ぎるとようやく他のラン
ナーたちもバテてきたようで、順位を少し上げる。
　そして暑さのあまり、三号目でブレーキがかかる。貧血が来てこりゃダメだ、
と思っていたところへちょうど給水所、しばらく横になって休むことに。さすが
に給水所はスタッフがいるので、テントの下に連れて行ってもらったり、汗を拭
いて頂いたりの介護をウケたりしてお世話になった。自分的には貧血はよくある
ことで、ちょっと休めば回復することもわかっていたので、さすがに脈を取られ
たりすると恐縮至極な気分に。１５分くらい休憩させてもらい、再スタート。血
の気は戻っていたが、もう力は出ない。下五合目を過ぎるといよいよ五合目コー
スのトップ選手たちに抜かれる（１時間半遅れでスタートしてる）。抜いていく
彼らを横目に、ようやく本五合目佐藤小屋へ。しかし給水所はもうタイムオー
バーで片付けが始まっている。しかたなく五合目コースゴール地点の給水所へ。
高山病的な頭痛もしてきた、例年ならもう少し上までチャレンジしているところ
だが、今年は五合目でギブアップ。と言っても、下山バスの乗り場まではまだ
1.5kmあるわけで、重くなった身体で乗り場へ向かう。乗り場はスバルラインの
終点ロータリー、お土産屋で土産を買う。会社を休んでのレース参加なので会社
へのお土産は欠かせない。当然下山バスの中では爆睡。バスは一気に下山するの
で、気圧の関係で耳がおかしくなる、時々唾を飲み込んで耳の中の気圧調整をす
る。
　バスは市役所に戻る。ランナーズチップを返却し宿へ徒歩で帰還。これもまた
暑い。誰もいないので、宿でご推薦の温泉へ行ってみることにする。行きは汗臭
い身体なのでそのまま徒歩で。
　帰りは駅から離れていたし、背広に着替えてしまったのでタクシーで駅へ。そ
こで吉田うどんを食す。冷やしうどんを頼んだが、麺の固さもさることながら、
タレのピリ辛っぷりがちょうどいい感じに辛い。