五合目からの帰りのバスの時間を考えると、かなりぎりぎりまで
粘って登っていたが、下山道に入ってみると、頂上から降りてくる
人多数で一安心。なんか、レースが終わった安心感と言うか、バテ
てた体が標高３４００ｍの涼しさで復活してきたと言うか、元気になっ
て下山道を一気に駆け下りた。本八合目から五合目まで１時間１５
分くらいで下山。バス乗り場に戻ってきたころから、急に雨が降り出
す。山の天候の移り変わりの激しさを痛感させる出来事。サクッと
お土産屋でお土産を買い、下山バスの列に並ぶ。バスに乗ったら
当然のごとく爆睡モード。^_^

　ほとんど爆睡していたとはいえ、車内はあちこちで今日のレースを
振り替えるおしゃべりで花を咲かす人多数。完走できなかった人間
としては、やはり完走した人の話はうらやましい。さらに輪をかけて、
富士吉田市役所でバスを降りて、テントのところでお手伝いの女子
高生たちが「完走おめでとうございます」と叫ぶのを聞いて、ますます
うらやましくなった。私は一人荷物を持って、刑部旅館へと戻っていっ
た（寂）。前を見上げると、再び雄大な富士山が目の前にそびえて
いた。途中で地元の商店の店主と立ち話、富士吉田市民にとっても
とても人気のあるレースであることが伺える。残念ながら今年も途中
で帰ってきたけれど、また来年も来ますよ、と言って立ち話を終えた。

　宿に着いたのは４時を過ぎていた。ほとんど同じ時間に牧元さんも
戻ってきた。年齢制限のため今年が最後の山頂コースだと言う牧元
さん、残念ながら最後の山頂は制限時間１４分オーバーと言うことだっ
た。それにしたって、最初の出場以来２２年間連続完走記録をもった
すごい人だ。「牧本ランニング研究所」を運営し、生徒はもちろん、登
山競走の常連連中にも知られた人である。風呂に入り、レースでかい
た汗はもちろん、帰りの砂利道で泥んこになった手足もきれいに洗い
流す。

　レース後もこの宿は居心地がよかった。夕方の富士吉田の風は心
地よく、そして田舎らしくとても静かだ。この心和ませる時間は、富士
登山レースに参加するものにとってもとても大切なものじゃないかと
思う。他の宿泊者はみんな帰ってしまったが、最後となった我々と牧
元さん、５時過ぎに女将さんに挨拶をして宿を出た、もちろん別れの
挨拶は「来年もまたよろしくお願いします」。