朝５時。布団をたたみ始める人の物音で目を覚ます。朝焼けがあかく木の葉
の陰を障子に写し出している。台風どころか、暑いくらいの好天になりそうだ。
とは言え、朝方は冷え込み、布団を出るなりジャージを着込んだ。山頂コース
参加者が食べ終わるのを待ち（それまでもうひと休み！）、６時から食事。涼
しさもあり、ご飯は茶碗２杯（山頂コースなら３杯は食わなければならない！）。
顔を洗う水も冷たい。７時半に花火が市内に響き渡り、約８分後に山頂コース
先頭グループが宿の前を通過していく。彼らが晴れ上がった空にそびえ立つあ
の富士山頂目指して走っているのだ、と考えるだけで胸が熱くなり、応援に力
が入る。最後部まで通過すると、次は我々五合目組が宿を出、スタート地点の
富士吉田市役所へと向かう。

　スタートは午前９時。直射日光が肌を刺すような暑さの中、富士吉田市役所
前をスタート。２分と立たないうちに、コースははや軽い勾配を持ち、富士山
の高峰に向かっていく。この軽い登り坂が約８ｋｍ続く。中野茶屋までのこの
区間で半分以上の距離を走るが、レースのボリュームとしては３分の１に過ぎ
ない。直射日光をなるべく避け、極力体力を温存しておく。更に中間地点であ
る馬返しまでの間、今年は完全にコンクリート舗装されていて驚いた。こうやっ
て山の様子の移り変わりに気づくというのも、既にこのレースのベテランになっ
た、と言うことなのだろうか。それはともかく、いよいよ後半は山道だ。最初
は腕を振って小走りにしていたが、効率が悪く筋肉疲労が激しくなる一方なの
で、徒歩に変える。しかし、歩きの練習が不足しているので、抜くことよりも
抜かれることの方が多い。それでも丹沢練習会で貧血による途中挫折を経験し
ているので、無理して途中リタイアを恐れてそのまま歩き続けた。毎年チャレ
ンジしているコースだ。ポイントでのラップタイムはいいものではなかったが、
大きなブレーキがかかることはないだろう、と言う強い確信の下、五合目のゴー
ルを目指す。それにしても、ひたすら山を登り続ける、というこのコース、何
度来てもきついコースだ。