またまた「にっぽんの現場」の続き。1300km以上走る長距離列車では、途中下 車する人もいれば、途中から乗車して来る人もいる。そして、このことは単に人 それぞれの目的地がある、と言うこともさることながら、目的地に着く前に途中 下車することもある、と言うこと。 今の時代、希望と言う言葉がもてはやされているが、そこには「あきらめな い」と言う概念も一緒に強く押し出されている。しかし、一度乗った列車に目的 地まで降りてはいけない、と言う考え方は、一方で人生を杓子定規なものにする おそれもある。つまり、途中下車する＝あきらめると言うことも人生と言う長い 航海において重要な舵取りである。希望を諦めるなとは、困難に打ち克つ努力を せよ、と言う解釈はしても、目的に固執せよ、と言う解釈をすべきではないだろ う。 列車はひたすらレールの上を走る、しかし乗客は何処で乗ってもいいし何処で 降りてもいい。それが旅の醍醐味であるように、人生もある場合はあきらめが良 い方向へ導いてくれることもある、と言うこと。