会社とは何か

　学校であれば、卒業式で泣いたり、卒業後に同窓会が開かれたりする。しかし
会社と言うところは人生で最も長く所属する集団でありながら、上記の学校のよ
うなルサンチマンが形に表れることはあまりない。もちろん定期的に年末に忘年
会をやるなどの定期的行事はあるが、卒業証書や通知表のように残るものではな
い。残るのは給与明細、もし社内で業績評価表みたいなのがあればそれが通知表
みたいなもの。
　今、そうしたセンチメンタルな感情が全く湧いて来ないことに戸惑いを覚え
る。学校はまだ人生の助走期間に過ぎない。むしろ会社生活の方が人が生きた証
を残す期間であるはずだ。それがノスタルジアの感情において逆転してしまって
いるのはどういうことなのだろうか。
　ズバリ言ってしまえば、個人的にそのような“生きた証”なんてものを残せな
かった自分の怠慢にある。だから、次の仕事は“生きた証”になる仕事を探そう
とは思っている。
　しかしそれでもまだ納得できる訳ではない。学生時代のようなノスタルジアは
結果から来ている訳ではない（むしろ甲子園に行く前に負けてしまった球児の方
が強いノスタルジアを残す）。過程（プロセス）とも違うような気がする。
　どうも学校のような「人間性を評価」される期間はとても短くて、会社では
「業績を評価」される期間と言うことで感じる疎外感に襲われているのかも知れ
ない。