自衛隊はスイス軍を目指す？

　自衛隊の合憲化を推し進める人々の理屈として、戦争を自ら
仕掛けない、永世中立を謳っているスイスにおいてさえ、立派
な軍を持っている。だから平和主義の日本も軍隊を持っていい
し、また持つべきだ、と言うものがある。だがこの理屈はなん
だかおかしい。
　スイスの場合、四方を他国に囲まれる、と言う、海洋国日本
とは全く異なる地理条件がある。よって、他国からの侵略の脅
威は日本とは比べ物にならないだろう、と言うのが１点。
　しかし、本当はこんな地理的条件などどうでもいい。スイス
は周囲を囲む他の国、フランスやドイツ、そしてイタリア、と、
均等に仲良くし、均等に距離を置くことで国家領土を維持す
る、と言う戦略がある。上記３カ国のうちいずれかと偏って仲
良くすれば、他の２国との間で角が立つことになり、均衡は崩
れる。そうした均衡を保つための“永世中立”である。ひるが
えって日本はどうか？靖国問題を初めとして、東アジア諸国と
の対立が日常茶番化している。そもそもスイスは『わが国はあ
なた方にとって脅威となるような存在ではありません』と言う
ことを明言した上での軍隊であって、関係がギクシャクしてい
る中で軍備強化するのは売り言葉に買い言葉的な喧嘩腰としか
相手には映らないであろう。
　先ず外交戦略をちゃんとすることが先決であって、それを差
し置いて軍備強化と言うのは本末転倒ではないのか？そんなや
り方は世界で孤立している北朝鮮のやり方と五十歩百歩ではな
いのか？憲法改正による自衛隊の正規軍化など、北朝鮮のテポ
ドン配備と同じような国際関係上の悪影響をもたらすことは確
実だ。先ず、周囲の東アジア諸国と正常な外交関係を結び、そ
の上でそれらの国々の了承を得た上で再軍備したければしても
よい。外交戦略のないままでの軍備強化は愚の骨頂であると言
わざるを得ない。