イスラムをスケープゴートにしてはならない

　イスラムとは反米勢力の代表格というより、これまではソ連崩壊により米国軍
事強化の理由が消滅してしまうことを恐れた米軍事産業が、９１１と言う一芝居
演出によって仮想敵＝スケープゴートに仕立て上げられた、と言うのが定説であ
る。実際問題として、ムスリム＝回教国国民は一部のテロリストの存在が突出し
ているものの、一般のほとんどの人々はごく普通の敬虔な宗教信者に過ぎず、争
いを好む人種ではない。前の記事でポストマルキズムとしてふさわしくないと書
いた理由に、このことも含まれる。
　スケープゴートということは、彼ら＝イスラムテロリストの存在が逆に米軍事
資本であるところのネオコン、ネオリベ勢力に利することになる、ということで
ある。その意味で、イスラム原理主義者はテロ活動をやめ、平和主義に戻ること
が重要であると考える。早い話、イスラムテロリズムを支えているのは、ビンラ
ディンを見ても分かるように、旧ソ連のアフガン侵略に米国が対抗すべく育てた
アフガン周辺諸国の反共軍人である。当時反共教育された彼らが、米国から無視
され敵視されて現在では反米に転じていることを考えれば、イスラムが左右両翼
の政治思想とは何ら関連のないものであり、あくまでも中東の内政事情により反
米になっているに過ぎないことは明らかだ。すなわち、中東諸国を現在の政治的
悲劇から救うために、我々反米勢力は一刻も早くアメリカと拮抗する存在になら
ねばならない。反米すなわち反グローバリゼーション、反ネオリベラリズムに理
性的に対処できるのはむしろ地理的にアメリカのお膝元である中南米諸国であろ
うし、さらに東アジアも最近の政冷を乗り越えて経熱が維持され、例えば通貨統
合みたいな時代が到来するのであれば、東アジアもまた反米勢力として大きな存
在になるであろう。その意味では日本の対米従属というのは内政的には判断が分
かれるところだが、国際政治的には目の上のたんこぶでしかない。