天皇と自衛隊

　先ず、これはあからさまな思考実験であり、被災者の皆さんに対して無遠慮な
議論になることをあらかじめお詫びする。
　これまで、菅総理が、東電の清水社長が、そして天皇皇后両陛下が被災地を訪
問し、前の二者は被災者から罵倒され、両陛下は涙を流してご訪問を歓迎した。
（責任の所在を考えれば）当然と言えば当然だが、でもやはり正反対の反応（と
言うか、マスコミの情報操作？）に違和感を感じた。
　それと同様のことを東電と言う営利企業と自衛隊の間に感じる。やらかしてし
まったのは東電だが、その収束への努力は対等（と言うより東電の方が勝ってい
る）。
　何を言いたいのかと言うと、悪者と正義の味方を分かりやすく対立させて見せ
る情報操作を感じてしまう、と言うこと。菅首相は間接的にも国民が選挙で選ん
だのだから持ち上げようと蔑もうと自由、しかし両陛下を持ち上げる理由は個人
的にはあまり見つからない（芸能人の救援活動と同じレベル）。この情報操作に
よって、政治家（内閣総辞職→解散総選挙で自民党が第一党に返り咲き、と言う
シナリオもあるが、どっちにしろ政治家が頭を下げなければならない問題に変わ
りない）の存在感が弱まり、天皇や自衛隊の存在感が高まっていくだろう。
　その結果、天皇と自衛隊が政治家や新自由主義の下、力を持っていた巨大営利
企業に代わり、新たな国家主体となる。つまり、日本は戦前のような大政翼賛の
軍事国家に変身する危険性をこうした報道の中に見え隠れしないだろうか。