よく日本人は排他的で、よそ者には冷たいと言われる。実際、福島からの被災 者にはあちこちで差別が起きていると聞く（放射能に対する知識不足と言う面は あるが）。 「男はつらいよ」のフーテンの寅さん、パッと見はなんともアヤシイ人物、ど この詐欺師か博打打ちか、と言う身なり。しかし日本中で最も愛されている人物 の１人でもある。 見た目が怪しかったりだらしなかったりしても、中身は人情に篤い寅さんは決 して特別な日本人ではない。 また、普段はあてのない旅をしていても、寅さんは決して故郷・葛飾柴又を忘 れたことはなかった。避難のために故郷を離れなければならなくなっても、故郷 を忘れない生き方の見本にもなる。 フーテンの寅さんはその意味で、被災者として故郷を離れなければならない人 にも、被災者を受け入れる人々にとっても、日本人としての大切な振る舞い方を 教えてくれていると思う。