資本主義が産み出す共産主義

　今回の福島原発事故および東日本全体の電力不足によって、東電１企業の国家
的影響力が明らかになった。しかし今日、１民間企業が日本全体の国運を左右す
るような事態は他にもたくさんある。例えば現在日本には４つの都市銀行（東京
三菱ＵＦＪ、三井住友、みずほ、りそな）があるが、このうち１行でも倒産すれ
ば日本全体の経済悪化は避けられない（ギリシャ、アイスランド、ポルトガルの
ような事態になることは避けられない）。
　そもそも町全体が１つの企業に左右される問題は2000年代初めから懸念されて
いた。いわゆる「ファスト風土」と言うヤツで、単に大型ショッピングセンター
が地元の個人商店街をゴーストタウンにするだけでなく、ショッピングセンター
が大量の雇用を産み出すために、撤退されたら町ごと消滅してもおかしくない。
つまり「町ごと消えてなくなる」のは震災被災地でなくとも十分にありえる話
だ。
　これはもはや自由競争を旨とする資本主義ではなく、むしろ１民間企業による
共産主義体制だと言っても過言ではない。今や日本と中国の違いは言論の自由の
あるなしくらいのもので、日本をこれまでの自由資本主義の国とは考えない方が
復興の対策を検討する上で重要になってくる。