[書評] ちきりん／ゆるく考えよう（イースト・プレス）

　今後しばらく休職しなければならない、下手すりゃ再就職活動しなきゃならな
い危機状態になっても、どこか楽観的な自分。単に世の中を知らないせいもあ
る。あるいは、独り身なので妻子を養うような責任を免れているせいもある。し
かし思想的には、内田樹先生やこのちきりんさんのように、“縮小する社会”を
受け入れているからである。今まで良い給料を取っていたからと言っても今後も
その給与を維持しなきゃ生活していけないほど切迫詰まっていないし、周囲の同
期や同窓が着実に昇格したり立派な地位に着いているのを見ても、そんな格差は
既に10年以上前（30代後半）から感じていたので、今さら慌てる気にもならな
い。犯罪を犯さない程度に我が道を行けば良いと思っている。
　だからといって、この本は単に楽観的になることだけを述べている訳ではな
い。今の世の中でちゃんと勝つための戦略や、効果の期待できない無駄な努力を
やめ、本来努力すべき方向に集中すべし、と言った話もある。
　最近のちきりんさんのブログはどうもネオリベラリズム肯定の方に進んでいて
自分と意見が合わないのだが、少なくともこの著書の思想的ベクトルは自分に
フィットしている。