判断に迷う（中東革命）

相変わらず中東の民主化の火が止まらないが、これがバラ色の未来を導くのか、
灰色の世界になるのかは未だ判断に迷う。 

・民主国家か宗教国家か 
　民主化、と言うタームは一般的には欧米諸国の意味で使われているが、中東諸
国は欧米諸国ではない。彼らにとって民主化は、むしろ世俗国家から宗教国家へ
戻ることかもしれない。 
　もし欧米的な「民主化」が行われれば、中東圏の人々は新しい「消費者」と
なってあらたな市場となり、イスラム圏にとっても欧米圏にとっても嬉しい状況
となる。しかしかの国々が「宗教国家」になった場合、市場創出に失敗し、かつ
石油輸出も停滞することになり、イスラム圏はイスラム圏で、欧米諸国は欧米諸
国で経済圏を個別に作り出す対策が必要になる。そしてそれは非常に難しい。 
　そして私は、後者の方が可能性が高いと思っている。 

・民主政権か軍事政権か 
　エジプトの場合、暫定的に軍部が政権を握ることになった。今後うまく民主的
な政権（公正な選挙で選ばれた人が宰相を務める）が成立すれば良いが、いつま
でも軍事政権のままだと、今までのムバラク政権よりもひどくなる可能性もあ
る。 

　ちなみに、日本だと近隣諸国（中国、北朝鮮）に同様の政権転覆を期待する声
も多いが、これらの国々は情報統制が中東より厳しいので、可能性は低いと思っ
ている。というか、政権がひっくり返った時の影響はプラス面よりマイナス面の
方が圧倒的に大きいはず（イスラム圏の人々のように、「自力で自分たちの国を
作る」意識に欠けているので、荒れるだけだろう）なので、そんなやたらにひっ
くり返ってもらっては困る。