仮面ライダーオーズはなぜ「正義」のヤミーと戦わなければならないのか

　今週の仮面ライダーオーズのテーマは個人的に非常に興味深い。来週の放送が
楽しみだが、その前にいろいろ考証。
　学校教育の中での「道徳」が大人社会の「倫理」と必ずしも一致しないと言う
事実は誰もが経験ありだと思う。周りに迷惑をかける若者たちを懲らしめるヤ
ミーには賛同する人も多いはずだが、オーズは彼を倒そうとし、ヤミーの親の父
子はそんなヤミーを守ろうとする。
　簡単に言ってしまえば、若者に非があるとはいえ、暴力で解決するのはやり過
ぎだ、と言う言い方も可能。しかし、このヤミーが為している「正義」の拠り所
が今回の問題なのだと思う。司法試験に落ち続けている腹いせに為す「正義」は
あまりにナイーブで、判断を誤ったり相手への懲らしめをやり過ぎたりする。
　以前、シンケンジャーで志葉瑠が実は影武者だったと言う幕（エピソード）で
は「正義には葛藤が必要だ」と議論したが、今回は「正義にはみんなの意見が必
要」と主張してみたい。単純に民主主義が必要、と述べると語弊を招くかもしれ
ない、なぜなら今の時代、民主主義＝多数決主義（ポピュリズム）と思っている
人は多いからだ。
　多くの人が正しいと思っているかもしれないことが、TPOを間違えて自分勝手
な判断で「正義」をなすと、車内暴力になったりモンスターペアレントになった
り。正義には公正さ（フェアネス）が必要であり、その根拠となるのがポピュリ
ズムでない民主主義＝少数派を考慮したみんなの意見なのだと思う。裁判員制度
などがある時代、ネットで誰もが「正義」を語り、世間に影響を与える時代、そ
んな時代には個々の問題に対する正義だけではなく、正義を考える上で依拠すべ
きものをきちんと考えなければならないのだ。

＃それにしても、こんな「道徳」と「倫理」のねじれをテーマにした子供向け番
＃組が出てくる、と言うのはすごい（良い意味でも悪い意味でも）時代になった
＃もんだ。