ブラタモリの魅力

・歴史番組ではなく地理番組
　ＮＨＫに限らず、教養番組には歴史モノが多い。確かに歴史上の人物には人間
性豊かなドラマがあるのでテレビで扱い易いのだろう。しかしブラタモリは“地
形”に反応するタモリさん独特の地理教養が楽しい。風景の裏に隠されたメッ
セージを読み取る“謎解き”は、すでに広く知られた歴史上の人物のドラマより
もスリリングだ（と言うか、その方が有名な人物の陰に隠れた「無名の大勢の人
たち」にスポットを当てることになる）。
・紀行番組ではなく教養番組
　町歩きが主体ながら、その土地の人との「出会い」が核となるが、ブラタモリ
ではあくまでも「場所」が主役なのが良い。例えば、お芝居を観ても物語や役者
ではなく、舞台装置やら登場人物の衣装やら、重箱の隅をつつく楽しさを熟知し
たタモリさんならではの町歩きとなっている。
・座学ではなく実践学
　タモリさんは町歩きを博物館のような視点で見る。それは実践的な知の楽しみ
方である。テレビの教養番組はどうしても座学（雑学？）になりがちだが、舞台
が東京で首都圏住の人ならブラリとテレビで見た考証を実践できる。実践できる
教養番組は意外と少なかったところへタモリさんが面白い番組を作った。