ここからが本当の「文明の衝突」なのかもしれない

　２１世紀が始まる直前に世に問われたマイケル・ハンティントンの「文明の衝
突」は、冷戦終結後に今度は新たに文明の衝突が始まること＝ポスト９１１のア
メリカ対イスラムの対立世界を予言し、話題を呼んだ。しかし、田中宇氏はこ
れをあらかじめ仕組まれたシナリオだ、ということを喝破した。つまり、冷戦終
結によって、アメリカの軍事産業が衰退せざるを得ない状況になり、新たに「イ
スラム」という仮想敵を作って、軍事産業をもくろんだ、と言う話。 
　しかし、今回の尖閣諸島問題は、むしろリアルにハンティントンの予言にか
なったものと言えるかもしれない。アメリカのようなユダヤ金融の背景をもたな
い
中国は、むしろチベットやウイグルなどの辺境問題を力で押さえつける上で、東
シナ海上の領海権についても強気で臨んだ。むしろ金が絡んでいない、純粋な領
土的野心のためにやっているから、先が読めない。 
　アメリカが当てにならないことは、北朝鮮問題での弱腰からも分かる通り。中
国に対抗しようと思ったら、アジア圏内で連携するしかない。さしずめ、インド
と韓国あたりが組みたい相手だが、なんとかロシアをこちら側につけられないだ
ろうか。しかし、領土問題については、ロシアは北方領土で日本と対立している
ので、むしろ中国に同情する可能性が高い。アジア勢力図という視点から見る
と、非常に難易度の高い局面と言わざるを得ない。