宮本警部４回忌

　３年前、僕は１週間起き上がれないひどい風邪で倒れていた。それこそ、この
まま二度と起き上がれないんじゃないか、と思うほどの苦しみだった。故・宮本
警部（当時は巡査）の東武東上線の悲劇は、そんな病床の中でニュースで触れ
た。宮本さんのような、私利私欲から離れたところで見知らぬ誰かを救ってくれ
る人がこの時代にもいるんだ、と言う事実だけで、大きな勇気になった。
　そして今は何度目かの仕事でのピンチ。過去のピンチも乗り越えたと言うよ
り、次の仕事に移って今までのことは水に流しただけに過ぎない。しかし今回は
職場を移れば済む話ではない、成長しなければならない（自分の一番苦手なこと
だ、変化は出来ても成長は難しい、何しろ自分は小学生くらいですでに自我が固
まってしまった人間だから）。
　冬晴れの中、東武東上線でときわ台へ。南口の花屋で花を買い、宮本さんが勤
務していた駅前の交番に戻る。途中、一昨年廃業したときわ浴場が高齢者向け？
入浴施設として復活しているのを確認。
　交番の若手のおまわりさんに一声かけて、「誠の碑」に花を手向ける。命日当
日でなくても、街の人たちから愛された宮本さんへ贈られた花束でバケツはいっ
ぱい。宮本さんのご冥福を祈るとともに、今の自分の境遇を宮本さんも遠くから
見守っていてください、とお願いしていた。