日本で死刑制度が廃止にならない理由

　気がついてみればなーんだ、と言う感じだが、実に分かりやすい理由を見つけ
た。
　日本で死刑制度が廃止にならない理由は、端的に言ってしまえば、ホロコース
トと言う人類最大の過ちを日本人が共有していないからだ、と言うことに気がつ
いた。
　ホロコーストとは死刑が戦争の一部に組み込まれた事象であった。１つの民族
全体を抹消してしまう地獄絵は、処刑と言う方法論に則ったものであり、つまり
は死刑制度が戦争に応用されたものであった。その結果、ヨーロッパでは戦争反
対を叫ぶ人たちにとっては、死刑制度反対もセットになるのが当然の成り行き
だった。ヨーロッパ人には死刑制度は10万人、100万人と言うとんでもない数の
人命を効率的に奪う恐ろしい手段であることを経験から学んだに違いない。処刑
ならば東京大空襲のように、建物や橋などの都市インフラに全く損害を与えるこ
となく、人命を奪うことが出来てしまう。
　しかし日本はポーランドで起きた地獄の出来事とは関係のないところで戦争を
し、敗北した。ホロコーストは日本の敗戦体験と接点を持たなかった。
　僕は死刑廃止を反戦運動のひとつと考えていることは何度も述べてきた。そし
てこの論理展開は、ヨーロッパで十分通用することを確信した。
　日本ではごく一握りの人たちだけが戦争と死刑制度の親和性を理解し、反対し
ているが、日本でもホロコーストと言う世界史上最悪の事件を学べば、死刑反対
派はもっと増えるのではないだろうか。