ミロシェビッチ死去

　旧ユーゴスラビア大統領のミロシェビッチ被告（国際戦犯法
廷で公判中）が亡くなったというニュース。彼のこれまでの経
歴を朝日の社説で読んでみた。バルカン半島と言えば紛争の絶
えない地域だが、この人は悪しき民族主義に火をつけて、「民
族浄化」の悲劇を生み出した人とのこと。日本では民族紛争は
蚊帳の外のように思われがちだが、ナショナリズムを間違った
方向に舵取りしている、と言う意味では小泉首相に共通したも
のを感じる。彼が中韓の外圧にもかかわらずなぜあそこまで靖
国参拝にこだわるのか、と言う理由の一つに、そうした外圧に
屈しない確固たる姿勢を国民に見せる、と言うのがあるだろう。
外国に言われて参拝をやめた、となれば、弱腰外交を非難され
ることは目に見えている。
　しかし、こうした排他主義的な民族主義は地球上のあちこち
で紛争のネタとなってきたことを考えて欲しい。別に「文明の
衝突」論に限らず、２０世紀の紛争の殆どの原因は民族対立だ
と言っても過言ではないくらい。この裁判が判決まで至らぬま
ま被告が亡くなってしまったのは残念至極と言わねばならない
が、振り返って日本でも、小泉首相はこれ以上排他主義的な行
動を慎むべきだし、日本国民もまた、このような首相の言動や
行動を肯定してはならないと思う。