ライブドア上場廃止

　どうにも手の届かないところが痒いようなこそばゆい話だ。
自分がＬＤ株に投資でもしていれば痒さではなく痛みになるの
だろうが、とにかく気持ち悪い話題。
　何が気持ち悪いか？確かにライブドアが粉飾決算をやって市
場を混乱に陥れたのは悪いことだ。だが、上場の廃止と言う制
裁が悪いことをした責任者を罰し、被害者を救済することにな
るのか？むしろ上場の廃止でLD株は紙切れになり、罪のない株
式保有者がかえって損害賠償の手続きを取らなければならなく
なる、もちろん訴訟で勝利するかどうかは五分五分だ（国が尻
拭いしてくれないのであれば）。それに、ホリエモンがいなく
なったあとのライブドアはこれから健全経営を目指す、と言っ
ているのに、上場廃止は新しい経営陣に追い討ちをかけること
になる。
　つまり、懲罰行為が本来の目的をはずして限りなくグレーな
ことをやっている印象を受けるのだ。こういうのは他にも当て
はまる、例えば北朝鮮拉致問題での北朝鮮へ経済制裁するかど
うかと言う問題。経済制裁すれば拉致被害者は帰ってくるのか？
そもそも制裁で痛みを感じるのは金正日当人ではなく貧しい
北朝鮮国民ではないのか？
　手をこまねいているよりは何らかの懲罰行為をした方が進展
があるはず、との期待を込めるのはよいが、それも結果が出れ
ばの話である。もちろん、結果を期待できる方法がないからこ
うして悩んでいるのだが、個人的には制裁行為と言うものを「
罪を憎んで人を憎まず」の原則に立ちおいそれと鞘から刀を抜
くべきではないと考える。ライブドアの上場廃止は、責任者た
ちがすでに牢屋にぶち込まれている中、関係のない被害者を増
やすだけの愚行ではないか、と案ずる。
　更に問題を一般化するなら、小泉政権を支持する国民の心情
の問題点は、このような十分な議論を行わずに誰かを制裁しよ
うとする非情さにあるのではないだろうか。ライブドアメール
問題で窮地に立たされている永田議員、彼の失敗がもともと正
義感の空回りであることを考えると、贈収賄や女性問題で非難
されるのを大きく上回る過酷な仕打ちは見るに耐えられない（
まぁ本人が潔く腹をくくれなかったと言う問題もあるにはある
が）。「盗人にも五分の魂」ではないが、このような非寛容さ
は将来、痛いしっぺ返しを食らうように思えてならない。香田
証生さんのイラク人質殺害事件以来の「自己責任論」の亡霊が
いまだに日本中を席巻しているようだ。論理的な証明ができな
い宗教的な所感にとどまってしまうが、皆さんのご意見を伺い
たいものである。