死刑執行のＥＵからの批判

　日本で死刑執行があるたびに、ミクシィニュースに海外からの批判が載る。そ
して、その記事に必死に抵抗する日本の論陣もまた、恒例。
　この日本側の抵抗には、「自分以外は全員バカ」症候群の片鱗を感じる。彼ら
は日本の刑事事件の状況を説明するが、果たして日本だけが極端に残忍な殺人事
件が多いのだろうか？アメリカやイギリスでは銃乱射事件なんてのもあるし、お
かしな連中がまれに存在するのはどこの国も同じ、と言うのが僕の見解。
　で、本題はそこではない。現在の社会状況だけで説明している、と言う点が議
論の底の浅さを感じさせる、と言うこと。こういった社会正義のようなものを考
えるに当たって、現代だけでなく歴史を考慮に入れるのは必須である。よく、
「ヨーロッパ人だって植民地で容赦ない現住民虐殺をやったり、ホロコーストの
ような血まみれの過去があるではないか」と言う言説に出会うが、私から言わせ
てもらえば、まさにそういう歴史を経験し、反省しているが故に彼らヨーロッパ
人の認識には説得力を感じるのである。むしろ、罪人処刑後の生首を晒す刑など
日本にも同様の残忍さはあるにもかかわらず、その歴史に不快感を示す人がいな
いのは首を傾げるばかりである。
　ドイツが戦後徹底的に対戦国に謝罪し、再びフランスと並ぶヨーロッパの盟主
国に返り咲いたのに対し、いまだに東アジアでの信頼を回復出来ず、極東の盟主
国になれなかった日本の文化レベルの差を感じる。