友達が大事な若者たち

　成人の日に関するアンケートで、最近の若者が最も大事にしているものが恋人
や友達だと言うことが浮き彫りになった。これ自体、好ましい結果で問題なさそ
うに見える。しかし私的には（親は別として）や学校の先生や近隣のオジサンオ
バサンが少ないところが気になる。つまり、大人、言い方を変えれば年長の人を
尊敬したり人生のお手本としたりする風潮が薄らいでいるのは、長い目で見た場
合大きな問題になるのではないか。
　人が成長すると言うことは、殆んどの場合年長者から学ぶと言うことである。
同級の友達とは励まし合ったりライバルとして競い合ったりすることは出来て
も、学びの対象はやはり年長者である。つまり大人から子供へ知恵や知識が継承
されて行くことが社会の繁栄にとって根源的に大事なことであるはずだ。
　友達は「好き」になる対象としてはふさわしい。しかし学びの相手として教え
を乞うのはやはり大人でないとまずいのではないか？
　最近はモンスターペアレント問題も、個別の奇妙奇天烈な親から教師への注文
への面白おかしい記事は減り、よりシリアスな、教師の早期退職問題の一因とし
て捕らえられるようになった。しかしモンスターペアレントの本当の問題は、
「子供が周囲の大人を尊敬する」、と言うしつけを親が見せなくなり、それどこ
ろかむしろ消費者的態度として高圧的に振る舞ってよい、というきわめて誤った
他者への振舞を躾けてしまっていることにあると思う。これは極端な話、国力が
衰退するとか言うレベルではなく、根本的に社会が崩壊しかねない危険な前兆で
はないか，と感じる。