なんかたとえがやたら優しいので、読み応えがないなあ、と読み進んだが、逆 に自分の無知に目を覚まされる。マルキズムを理解する上で欠かせない「疎外」 の概念もこの本で理解したし、「唯物史観」もしかり。ポストモダンなどの現代 思想とはまた違う、数学的な切り口（ゲーム理論）は今後自分の思考回路の幅を 大いに広げてくれるだろう。要するにこの本は、マルクス主義をもう一度読み直 しして、基本に立ち返って社会を良くするにはこうしたらいいんじゃないです か、と言った分かりやすい思想的指南書になっている（まぁ「どこが経済学やね ん！」と言う気もしなくないがｗ）。いや、思想書ではない、歴史から何を学び 取るか、と言う社会科学の基礎理論書、と言った方が良いかもしれない、「疎 外」の概念自体は左派独自の用語ではないのだから。