芸能人たたきと「記号的」少年凶悪犯罪の関係

　山本モナの不倫事件はもはやゴシップ雑誌やテレビに流れない日はないってほ
どの盛り上りを見せている。こうやって１人の芸能人（なのか？）をみんなで
よってたかって叩く構造が今日の歪んだ社会を象徴してるなー、と思う。前回の
記事で若い凶悪犯罪者の動機として、「殺すこと」そのものに意味があるのでは
なく、後付けの深い意味を大衆に対して煽ることによって衆目を浴びることに意
味がある、と言う感じのことを述べた。この新聞記者も、山本モナ＝尻軽女だと
いうことをさも自分が発見したことであるかのように必死になって記事にして、
読み手もまたそれを通じて彼女の不倫の意味を過剰に意味付けして楽しんでい
る。問題は彼女が尻軽女であることより、そのような論争を無意識ながらにかき
立てることで衆目を浴びる本能（もちろんいい本能ではない）があると言うこ
と。それが記者や大衆が解釈「ゲーム」として楽しむ分にはかまわないとは思う
が、上記のような若い凶悪犯罪者が過去の事件のまねごとで人々の解釈を煽って
目立とうとしたりすることと、ゴシップ記事の記者が不倫事件に高い場所から意
味付けを行なうやり方がどうにも似ているような気がして、こういうメディアの
在り方そのものをもう少し批判的に見るべきではないか，と思ってしまうのであ
る（個人的には、メディアが取るべき態度は、事件の解釈の後に「ゲーム」をす
ることではなく、事件をなくすための思想や主張を提示することだと思う）。山
本モナはメディアのおもちゃとして消費し尽くした後に捨ててもらってもかまわ
ないが、若い凶悪犯罪者をおもちゃにすると、今後「返し歌」構造による凶悪事
件が増えることになりかねない。