秋葉原

　竹内のぞみさんの来週のソフマップアミューズメント館でのDVD発売記念イベ
ントの整理券を取りに秋葉原へ。土曜に続いて初夏の好天。
　駅を降りても、人の流れなどにはあまり変わりはないが、やはり空気の温度が
いつもより低い感じがする。つまり自粛モードが漂っているのだ。駅をすぐ出る
とメイドコスのお姐さんのティッシュ配りに変わり、青い制服の警官が目立つ。
あるいはまた、マスコミの人たちが道行く人にカメラとマイクを向けてインタ
ビューしている光景。一部のコスプレマニアはいても、アキバ名物のメイドコス
プレも、路上ライブアイドルアーティストも全く姿を消していた。歩行者天国は
まだ１２時前なので通常でもやっていない時間帯だが、このあとも道路の真ん中
を闊歩することはできないのだろう。
　ソフマップアミューズメント館の前にも、いつも通りイベント開始待ちのヲタ
が整理番号の呼出しを待つ光景があったが、その前を警官やカメラやマイクを携
えたマスコミが行き来する不自然な光景。エレベータで乗り合わせた人が、警察
が配布したと思しきビラを読んでいる。
　横断歩道で信号が変わるのを待っていると、「事件を目撃した方はいらっしゃ
いませんか？」と連呼する警官と目が合い、首を横に振る。すぐ隣には数珠を
持った喪服姿の男性。普段のアキバでは宇宙人みたいなコスプレが隣にいても驚
かないが、今日のこの光景は１週間前のおぞましい事件の明快な結果なのだ。背
中には冷汗が流れ、寒い風が吹き抜けて行くように感じる。あと３０分もすれば
ちょうど１週間前の悪夢が起きた時刻に。
　献花台のテントの下はものすごい人だかりだ。警官、マスコミ、遺族の人た
ち、町内会の人、その他関係者、、、。通行の迷惑になるため、長時間立ち止ま
ることが許される状況ではない、献花台の前で黙祷、合掌したのは１秒にもみた
なかった。犠牲者の皆様には心よりご冥福申し上げます、と同時に、アキバとい
うヲタク文化の中心に与えた影響の大きさに身震いする、報道だけでは分からな
い事件の重大性をまざまざと感じた。