[書評] 言論統制社会／鈴木邦男、斎藤貴男、森達也

　２００５年初版発行なのでやや古めの対談集ではある。とは言え、なんか笑え
るくらい楽しく放言してて、それがまた今の世の中を鋭くついていて痛快。難し
かったりまじめ腐ったりする政治思想の話を面白おかしく語るそのスタイルは、
なかなか他の日本人にはできないものだ。そう言う意味で幅広く読んでもらえる
内容だし、また読んでもらいたい本だ。
　この対談のホストは鈴木邦男、「一水会」なる団体を率いるほどの筋金入りの
右翼の人だ。にもかかわらず、この対談は笑っちゃうくらいリベラルだ。そこが
先ずこの本のチャームポイント。
　なんと言っても、この対談の主題は「国家に守ってもらう」と言う幻想の元
に、国民自身が自分たちをすすんで管理されたがっている、その状況を憂う。ま
さに最近の自分の関心と合致していて面白く読んだ。もちろんその典型がネット
右翼なわけだが（と言うか、２００５年の時点で「ネット右翼」と言う語彙が存
在してたのね、知らなかった）、暴言が正論になっていく有様を北朝鮮より危
険、とズバリ指摘してしまうあたり、面白おかしい中に実にヤバい発言てんこも
りだ。読んどいて絶対に損はない本。