無差別殺人

　最近、自分の仕事の出来なさっぷりによく絶望感を抱くようになった。つま
り、普通の仕事はさばけても、より質の高い仕事をしようとなるとスキだらけ。
多少面白い視点の提案は出来ても、ビジネスとしての精査をかけると話にならな
い。
　さてそんな絶望感を抱いていると、不謹慎ながら最近の無差別殺人犯に多少な
りとも共感してしまう部分がある。もちろん無差別に人を殺してやろうなんてそ
こまでひどい絶望ではないのだが、誰だって大きな絶望感を味わったらその手の
ヤケクソの妄想は抱いたことがあるはずだ。
　僕は無差別殺人というのは、そうした現代日本の絶望的状況の氷山の一角なん
じゃないかと思う。つまり、年間自殺者３万人越えという深い闇の底辺が日本に
は存在し、その中から突出した絶望がこのような凶悪な犯罪を生み出しているの
だと考える。結局自殺であろうと他殺であろうと、人殺しであると言うことに大
差はなく、大人の絶望が理性の抑制で自殺にとどまっているのが、これが抑制の
利かない若者だと他人の命を奪うまでに暴走してしまうケースが出てくる、とい
うこと。もはや犯人に「死刑になりたかった」などと言われては、「目には目
を」的厳罰主義者の主張も歯が立たない。もはやこの問題は個別の事件ごとに考
えたところで次の犯罪の抑止には役立たないだろう。自殺３万人問題をもっと真
剣に考えるべきであるということ。絶望した人が絶望から這い上がれる社会を作
ること。そのような簡単なこと（ギャンブル依存などの自業自得ではない人々が
ワーキングプアになってしまうような社会）が今の日本ではすごく難しくなって
いることを政治や教育に携わる人たちはもっと自覚すべきだ。