コソボ独立

　今回は政治思想や地政学的な話は一切なし、直感的な国家誕生の場面に出くわ
した興奮を書く。
　もちろん、今までに例えばタイのクーデターやら、中央アジアでの革命などに
も興奮してきた。しかし独立というのはまた違った意味の高揚感がある。島国日
本では非常に確率の低い政情変化だからだ。
　しかし、実際にはコソボという国は日本の岐阜県くらいの面積しかないと言
う。だったら岐阜県が独立運動したらどうなるんだろう、そう言う夢想をすると
なんだかワクワクしてくる。
　基本的な思想は平和主義だが、それと情緒的な政治感覚というのは必ずしも一
致しない。むしろ個人哲学に属することで、「細く長くより、太く短く生きた
い」と言う願望が革命や独立への強い憧憬の原動力となる。人の命はたかだか数
十年でも、国家はうまくすれば千年単位で栄華する。そう言うもの（国はモノな
のか？）が誕生する瞬間に立ち会いたい、というのは、私的にはハレー彗星に出
くわすことなんかよりずっと強く憧れる。
　国とは何か、頭で考えるだけのナショナリズムや民主主義を、直接肌で感じた
い、という欲望は、生活に窮するだとか、生命の危険をも伴うものであるわけだ
が、直感的にはそんなことを上回る情熱を賭する価値のある瞬間であると感じ
る。結局のところ、病気や事故より、思想で死にたい、しがないサラリーマンの
密かな願望である。