今回スポットを当てたいのは渥美清の寅さんと植木等の無責任男だ。今の時代 にあれらの映画ドラマが作られていたらどんな評価を受けていただろうか。マン ガでは『未来への希望』とセットで楽観主義が提示されるが、ここでは希望抜き の楽観主義が提示される。 当時の日本人の寛容さ、懐の深さに感嘆する。当時の諸外国から見てこのよう なブームがありながら勤勉にいそしむ日本人の姿はさぞかし脅威であったのでは ないだろうか。そしてその懐の深さこそが今の時代に最も欠けていることを以前 から痛切に感じている。