「プロフェッショナル〜仕事の流儀」

　NHKの人気番組。個人的には嫌いな番組（なのに父親が好きな
ので毎週観てしまう）。当初は、「あんな忍耐力、所詮一般人
のオレには無理だよ」と言ったやっかみや、住吉美紀のなんと
も言えない過剰さが鬱陶しい、と言ったごく気分的なものだと
思っていたが、今はもう少し違う意見を持っている。
　世のニュースは今、バッシングにあふれている。自民党は民
主党を、民主党は自民党を攻撃しているし、その他のニュース
も殆どが誰が一番悪いか、的な話に終始している。問題は悪い
奴を懲らしめることだけで解決するわけではないのに。
　「プロフェッショナル」はそれと反対のことをしているよう
な気がする。陰で頑張ってきた人を表舞台に引っ張り出して褒
め讃える。うちらみたいな技術職にはこう言う番組は評判がい
いだろう、以前の「プロジェクトX」と同じで、仕事に誇りを
持ち、仕事を通じて日本を、世界を変えて行く、と言うストー
リーは大河ドラマ的だ。登場人物をお手本とすれば、大成功と
までは行かなくても仕事上の成長の足しにはなる。
　しかしそれでも私には納得が行かないことがある。彼らは縁
の下の力持ちだったが、彼らにスポットを当てても依然として
まだ沢山の縁の下の力持ちがいて、結局彼ら全部を表舞台に出
すわけにはいかない、この不平等さがなんだかもやもやした気
分にさせる。
　つまり、世の中は“中心”と“周辺”に分かれていて、バッ
シングでは“周辺”を攻撃し、この番組の顕彰行為は“中心”
を褒め讃えることで対を為している。私の問いはこの“中心”
と“周辺”とに境界を引いてしまう力学をなんとか破壊できな
いものか、と言うものなので、どうしてもこの番組に対しても
不快感をぬぐえずにいるのだ。