国家の品格

　今朝の電車の吊り広告に表題の書籍の広告があった。出版社
は新潮社。なんと言うはしたない書籍の広告だろうか。見事に
極右的なプロパガンダ。こんなものが堂々と広告で張り出され、
私は恥ずかしい気持ちでいっぱいだ。
　そもそもなぜこの著者（そんなものまで覚えていない）は
“国家の品格”なるものを持ち出すのか？別に風紀が乱れてい
るのは今に始まったことじゃない。私にはむしろ改憲への追い
風を作るための扇動としか思えない。
　滋賀県の幼児殺害で、中国人女性が逮捕された。珍しくテレ
ビ朝日で在日外国人の肩を持つコメンテータがいた。もちろん
彼女は厳罰に処せられるべきだが、それで明日からは無条件に
平和に暮らせるとは誰も思っちゃいない。この女性が苦しんで
いたという“文化の違いによる苦しみ”を洗い出し、他の在日
外国人にも暮らしやすい環境を作り、みんなが平和に生活でき
るようにしよう、と言う提案だ。
　一方でこの書籍は何だ、「将来人類が滅びても生き残って欲
しい民族は日本人だ」だと？なんと言う傲慢な発言だろうか。
民族の誇りを持つのはいいが、これはあからさまに差別発言だ。
今や日本中に数万から数十万はいる在日外国人の人たちと敵対
する排外的な思想。はっきり言ってサルコジよりひどい。先ず
世界の人々が平等に素晴らしいということを認めないで、何が
品格だ！ふざけるな！とその広告を見て心の中で叫んでしまっ
た。これじゃムハンマド風刺漫画も他人事としか考えられない
よなあ。靖国問題もこれでは解決するどころか悪化の一途をた
どるばかりだ。問題を解決しようとしない、一方的な思い込み
でしかない貧しい限りのナショナリズム。あきれた今朝の満員
電車での出来事だった。