監視カメラと安心安全のバーター

　最近は商店街などにも監視カメラが仕掛けられるようになった。安全な暮し、
子供やお年寄りの安心のために、多少の監視はやむを得ない、というのが今日の
社会の発想であるらしい。そう言えば実家に帰ってから、玄関だけでなく門にも
鍵をかけるようになっていた。そこまで用心しないといけない時代になったの
か、と驚く。
　私は貧乏暮らし大好き人間なので、そこまで真剣に守らなければならないもの
を持っていない（というか持ちたがらない）。それに夜遊び大好き人間だから、
深夜の六本木や歌舞伎町を平気で一人歩きする。
　だが、単に自分の貧乏趣味を押付けるために監視カメラに反対するわけではな
い。前述の「茶色の朝」が警告していることは、安全安心を監視とバーターする
ことに対して無関心でいてはいけない、というメッセージがあると思う。
　そもそも、なぜ「監視カメラ」が我々を見守らなければならないのか？そんな
ものはご近所さん同士、協力しあって監視しあえば良いではないか？第三者の見
ず知らずの警備会社に見てもらわなければならないのはなぜなのか？
　私の趣味の一つである銭湯でも、よく「番台の人に裸を覗かれて恥ずかしい」
とカウンター形式の銭湯（あるいはスーパー銭湯）を好む人が多い。そりゃ本末
転倒だよ、お互いに顔を知ってる銭湯のオヤジなら見られても気を許せるが、監
視カメラだとカメラの無効で誰が見てるのか分からないんだぜ！どっちが本当に
恥ずかしいのか、機械だったら恥ずかしくない、というのは、匿名掲示板への書
き込みは本当に匿名性が保たれていると信じ込んで荒らしをしてる連中と変わら
ない無邪気な発想だと思う。
　監視カメラはレンズの向うで誰が覗いているか分からない。近所付き合いが希
薄になった、という理由だけで、我々の安全の監視を第三者に任せる、というの
は非常に危険な発想ではないだろうか。監視カメラを許しておいて、何が一体
「個人情報保護」なのだ！！！