安倍劇場

　小泉政権時代の政治をよく「小泉劇場」と呼ぶことが
あった。その一方、大臣が次々と辞任に（中には自殺も！）
追い込まれる安倍政権を「安倍劇場」と呼ぶ人はいない。
しかし私的には安倍政権も“劇場色”はかなり強い、い
や小泉時代以上に強いのではないかと思っている。
　もちろん、そこで演じられているのはヒーロー物語で
はない、悲劇である。もしかすると呪われた政権として
オカルト劇かもしれない。
　ただ、あまりにも次々と大臣が追い込まれているのを
見ると、やはり誰かがシナリオを操っているのではない
か、と勘ぐらざるを得ない。どうしてこんなシナリオを
描いたのか？僕がヒントとするのは「田中宇の国際政治
ニュース」だ。彼は自分のメールマガジンで、ブッシュ
米大統領のイラク政策の失敗を、単なる失策ではなく意
図的なものだと繰り返し主張している。アメリカが国際
的な覇権をわざと失うことで、経済的な中心地がアメリ
カの外側へと移っていく。そうすることで、多国籍企業
は新たな経済的チャンスを作り出していく、大体そんな
筋書きである。
　もちろん安倍劇場がこれと全く同じだとは思わない。
むしろ逆で、実は憲法改正したがっている安倍首相より
ももっとナショナリスティックな考えの持ち主がこのシ
ナリオを動かしているのではないか？なぜなら、今の安
倍首相は徹底的にマスコミから“ダメダメ首相”のレッ
テルを貼られまくっている。と言うことは、伏線として、
次期首相はものすごく強いリーダーシップを発揮する人、
単刀直入に言えば独裁政治すれすれの政治家が登場する
お膳立てになっているのではないか、と考えるからだ。
今僕が案じているのはまさに次期首相に独裁者が登場し
ないか、と言う危機感に絞られている。その意味では、
安倍首相辞任については極力ソフトランディングを望み
たい。失敗してハードランディングするととんでもない
勢力が取り入ってきたりしかねないからだ（最近の傾向
として、極右政党が票を伸ばしてるんだよね、まぁ急に
政権をとれるわけではないのだが、要注意だ）。