いまだに打ち上げ花火が分からない

　隅田川の花火大会の人出は言うまでもない(96万人って)が、明日の長岡
花火大会も相当集まるようだ。
　私は以前、関東大震災や東京大空襲で火の海になった隅田川に、なぜまた
砲弾のような爆音を立てて空中に火の花をあげるのか、あの悲劇を再現する
ような演出のどこがめでたいのか？と主張し、いや隅田川の花火は関東大震
災よりはるか昔からある江戸の大切なまつりなのよ、と言われて一旦鞘に納
めた。しかし長岡花火の話に寄れば、まさに長岡空襲で散った命の鎮魂とし
て花火を上げていると聞き、ますます分からなくなった。空襲を再現するか
のような花火が鎮魂？さっぱり分からない。僕には日本の夏の花火大会は、
地球の裏側の奇祭のようだ。
　世界にも花火大会はあるが、死者を弔う鎮魂として上げると言うより、む
しろ国威発楊的なメッセージだ(それもまた私には胡散臭い)。で、夏の風物
詩でもない、他の季節に上げられたりする。
　やはり犠牲者を悼むのであれば、派手な演出よりも静かな祈りのイベント
にすべきではないか、たとえば広島原爆追悼式のように。花火で鎮魂なんて、
今やテレビで見ることのできる「空爆」シーンで喜ぶのと変わらない、と思
うのだが、違うだろうか。