empathy

　なぜ中国が世界中から嫌われているにもかかわらず、その勢力はとどまる
ことを知らないのか。逆に言えば、なぜ民主主義勢力はいつまで経っても共
産主義勢力を抑えきれずに持て余しているのか。
　1つは、共産主義思想が不完全だったように、民主主義思想も欠陥だらけ
だ。少数派の意見も大事にすべき、と言う建前は、多数決で議員を選んでい
る限り不完全だし、新自由主義で少数の富裕層が富を独占することを自由だ
として批判はできても合法的に取り締まることはできない。
　さらに、格差を考えるに当たって、その範囲が限定されていること。例え
ば、ニューカレドニアはいまだに独立できずフランス領のまま。先日、独立
するか否かの島民投票があったが、まだ経済的な自立は難しいと判断し、独
立は否決された。格差があれば、法的には平等でも実質的に不平等が維持さ
れる。国内で平等でも旧植民地までは平等ではない。日本も例外ではなく、
本土と沖縄の関係はまさにこれ。
　見捨てられた大陸、アフリカを支援しているのは中国だ。一帯一路的な資
本提供による間接的な支配とも言えるが、では彼らの貧困を放置して良い、
と言う話にはならない。中東、中南米、東南アジアなど世界中の貧困国に中
国は資本提供している。20世紀はアメリカがこれらの国々に基地を置くなど
軍事的な形で支援してきたが、しょせん軍事は庶民の暮らしを底上げするも
のではなかった。庶民の暮らしを底上げできる資金提供の方が支持を集めら
れるのは当然である。
　共産主義陣営は中国とロシア2カ国だけなので、そこまで賢者にはなれな
いにしても、民主主義陣営がそうした賢さ(メルケルみたいな人が国連やWHO
にもいてもらいたいのだが)を持っていなければならないのではないか。共
産主義を批判しながらも、核兵器も減らせない、CO2排出量も減らせない今
の民主主義陣営にも反省すべき点はたくさんある。「世界を変えたければま
ず自分自身を変えろ」と仮面ライダーセイバー主題歌でも歌っているではな
いか(重要な蛇足)。