池江璃花子選手

　もちろん、アスリートのSNSに「オリンピックを中止してください」とか
「メダルを諦めてください」と書き込むのは筋違いである。彼女に訴えるな
ら、宇都宮氏の五輪中止署名に参加したり、デモなどで政府に声を届けるの
が筋。まあ池江選手に言葉を向けるのは、そういう手段と縁遠い人たちなん
だろうな。もっと社会人として世界を広げ、スポーツの話だけでなく社会や
政治の話もできるようになっていただきたいものである。
　その一方で、池江選手の反応も残念と言うか、情けない。周りの応援する
声に応えようと頑張っていらっしゃるのは分かる。でも、あの答えは、そう
した強いプレッシャーの中で、自分を見失っているなあ、と思う。大病から
立ち直る強い意志は持っているのに、がむしゃら過ぎて、周りが見えていな
い。ラグビー日本代表の福岡堅樹選手は、オリンピックが１年延長になった
時点でオリンピックを諦め、医師国家試験受験に舵を切った。自分のやりた
いことに対して冷静な判断をした賢明さに感心した。池江選手の場合は、白
血病になった時点でパリ五輪へ気持ちを切り替えられたのだから、決して決
断を切り替えることができない人ではない。ただ「苦しい」と言うだけでは
なくて、自分の意思を見せて欲しかった。残念である。
　将来の子どもたちに見せたいのは、もうがむしゃらに頑張れば報われる、
と言う単純な時代じゃない。変化に対して自分がきちんと選択をする意志の
強さである。
　また、陸上長距離の新谷仁美選手は、競技は趣味じゃなく仕事だから結果
(メダル獲得)を出してナンボ、と言う一方で、国民に歓迎されない大会に出
場しても意味がない、と言う明解な発言をされてますし、考えに一貫性を持
たないと、競技者としても後悔しますからね。池江選手も覚悟を決めて欲し
いですね、まさに本人次第。