前の議論では言葉の理で、ローカリズムを過去の美談のように語ってしまっ たが、実のところ過去にちゃんとした自給自足生活で繁栄した時代と言うの はない。先史の縄文・弥生時代ならともかく、平安時代にはすでに荘園制度 があって、土地の私有者に農民が年貢を納める制度はあった。農業にも自給 自足の時代はほとんどない。つまり、自給自足のローカリズムは目指す未来 として受け取ってもらいたい。 地域復興もそう。地方の過疎化は震災被災地に限ったことではなく、地方 の過疎化はグローバリズムでは加速の一方で止めることはできない。少子高 齢化も進み、人口が減ったら人が暮らせない地域が出てくるのは避けられな い。それを無理に復興しようとすると、原発を誘致して補償金で食べていく 道を選ぶような選択をしてしまう。 いつまでも思考回路を資本主義と社会主義の二極化に単純化していて良い のか。複雑化する社会を無用に単純化せず、しっかり理解して未来を思考す る必要がある。