ネット右翼仮説その６・結び

　さてそろそろ結論。

　プチナショナリズムとは何か？ラディカルな表現を許してもらえるなら、国民
が国家の所有物（＝自由に操られる存在）になることだと言える。だが国民はそ
のようには考えず、国民が国家を所有している、と考える。国家とは日本人が住
む領域を統一して生まれたものだ、と言う考え方が源泉だろう。プチナショナリ
ズムを支える概念、日本（国）、日本人、日本民族。それらはいずれもいい加減
で恣意的な概念である。先ず日本人とは誰か？日本民族とはどんな民族か？混血
の人はどうなるの？あるいは知的障害などで自然な国民としての義務や権利行為
を行なえない人は？在日の人でも国籍は立派に日本人、という人は沢山いるけ
ど？そこには個々人による恣意が介入する余地が多大にある。そしてそんな日本
人、日本民族の集合概念としての日本国、なんてものの定義もまた恣意的なもの
でしかないのは当然のことだ。更に、軍隊とは日本人を守るためにある？日本人
の定義がこんなにも曖昧だったら、日本人自身を攻撃してくることだってあるん
じゃない？
　萱野稔人の言葉を借りれば、国家とは暴力の独占である。そこにははっきりと
した国民の定義はない。国家運営のためにまやかしのような国民像があるだけで
ある。今日最も重要な問題のひとつとされる憲法問題にしても、このような国家
の在り方を根本から問い直す、という姿勢があれば、安易に改憲議論（そもそも
憲法の主語である「我々日本国民」が（人それぞれ思いは異なるだろうが）ある
べき姿で解釈されているか？まず憲法が正しく行使されているのかどうかから検
討しなければならない）はできないはずだ。憲法とは先ず、国民が国家の所有物
にならず、その暴力に服さず対等な関係を維持するための源泉であることを確認
して、一連の記事の結びとする。