トランピズムの不明解さ

　前回はグレートリセットと言うものを考えてみたが、相変わらずトランプ
支持者の言っていることは分からないことだらけだ。選挙に不正があったの
なら由々しきことだが、いまだに具体的な証拠がなく、トランプ大統領の訴
えはいまだ裁判所の審査まで進んでいる様子はない。三権分立であれば、た
とえ選挙が民主党優勢に進められていたとしても、訴えは公平に扱われるは
ずだ(だからいくら韓国政府に言っても、慰安婦問題で裁判所が日本企業に
賠償命令を下す判決が出てしまう。司法と立法が完全に分離している点で韓
国は評価できる、あくまでも国際法上で主権免除と言う論点でのみその命令
は受け入れられないことを主張しなければならない)。証拠がない以上、選
挙結果に不満をいだく人々が力づくで選挙結果をひっくり返そうとしている
ようにしか見えない。そこに至る経緯がまるで分からない。ホワイトハウス
占拠は、結局のところ民衆のクーデターと言うよりも、十字軍の異端派制圧
のような行為としか思えない。
　BLMは力の不均衡の問題。デモが平和的に行われているのに鎮圧される(ま
あ大勢が集まるのだから、その中に暴力的な連中が混じって取り押さえられ
ると言うのはあるが)のは問題だが、実際に議事堂に乗り込んで荒らしたのな
ら、暴力的なのはどちらなのか。
　いずれにせよ、ラストベルトでの雇用率上昇を除いて(北朝鮮と外交できる
ようになったのも評価して良い)、トランプ大統領の実績に見るべきものはな
く、人種や性による差別がひどくなり、いろいろと中国に敵対心を見せては
いるものの、むしろ米中関係を悪化させたのはトランプ自身(無茶な理由で関
税を上げたり)なのではないか。核廃絶も、地球温暖化問題も、みんなトラン
プのせいで後退している。いまだに米国内のみならず、海外にもトランプ支持
者が多数いることについて、誰かしっかりと論点を整理して欲しい。社会の分
断で分かっていることはただ１つ、両者の議論が噛み合っていないことだけ。