ネット右翼仮説その３・キャラクター政治（もしくは劇場政治）

　プチナショナリズムの心性としては、日本の今日のキャラクター政治が反映し
ていると考えられるだろう。ひとつはもちろん小泉政権の「小泉劇場」というヤ
ツ。小泉政権は複雑な政治問題を分かりやすい勧善懲悪的な物語舞台として演出
した。その結果、小泉首相のやることなすことが印籠のようなマジカルな信頼を
得てしまった。
　もう一つは直接政治の話ではないが、サッカーや野球での日本人選手の海外で
の活躍というのもプチナショナリズム隆盛には欠かせない要素だっただろう。今
でも２００２年の日韓合同ワールドカップサッカーでの強烈なガンバレニッポン
コールの凄まじさは私のような非国民（笑）には恐怖だった。２００６年の大会
ですら、なんでサッカー観戦が仕事をさぼっていいい理由になるの？だったらオ
イラにも有給使わずにアイドルイベント（首都圏の夜間や土日のなら不要だが、
遠征の場合は必要）行かせてくれ、と言う疑問がある。
　セクハラではよく「Ａさんが言うと問題じゃないのに、Ｂさんが言うとセクハ
ラになる」なんて話があるが、政治も同様に、誰が言ったから正しい、誰が言っ
たから信用できない、と言う、言説の中身の吟味とは別のところで正義が決ま
る（セクハラの場合は感情を問題にしているのだから同じまな板に載せての議論
はできない）、そういう非論理的な言説を信じるのが今日のネット右翼（と言う
より、より広く日本国民の多数派と言うべきだが）であり、彼らの政治家の支持
の仕方がこのようなおかしなことになっているのが今日の日本の政治じゃないだ
ろうか。