正直難解で十分理解したとは言いがたい。ただ、個人的には自分の中の「科学 への不信感」は歴史上どのように認識されてきたかを知りたかった。実際には確 かにそのような議論は数多くあり、ハーバーマスの他にマルクーゼやアーレント らが展開している。 個人的な思想としては、科学というものは“自然の摂理”そのものではなく、 そこに人類のイデオロギーを持ち込み、囲い込まれた知識の体系のことであり、 決して純粋無垢なものではない、と考えている。一方ハーバーマスの議論は科学 というよりは科学の目指す「合理性」というものが人間性の阻害をもたらす、と 言う展開。個人的にはこのようなマルクス主義的な要旨はピンと来ていないが、 しかし今日においても普遍的な問題であり、更なる次の世代（とりあえずアーレ ントか？）の議論に期待したい。