[MOVIE] 抵抗 死刑囚の手記より＠渋谷ユーロスペース

　金曜銭湯めぐりは休み、急遽映画を観に。死刑制度廃止は私のライフワーク
（は若干言い過ぎかもだが）である。ユーロスペースの死刑映画週間は見逃せな
い。最終日に会社定時上がりでダッシュ。
　5分ほど遅刻。ナチス占領下のフランス人兵士が捕虜からの脱獄を克明に描いた
物語。終始緊張感が途切れることのない作品。
　そうなのだ、私にとっては死刑とは戦争の記憶と絶対に切り離せない問題なの
だ。ナチスが、スターリンが、毛沢東が暴君としての権力を発揮したのは、戦場
ではなく刑務所と死刑執行台なのだ。
　昔は頑張ってネット上で死刑廃止の主義主張を書いていたが、最近は筆が進ま
ない。こういう思考の土台が他の人々とまるで噛み合わず、議論にならないのだ。
そもそも死刑制度が再犯防止(見せしめ)とか家族に代わって正当な復讐制度だ、
と言う認識は私にはない。権力者が死刑制度を持っていること自体を問題視して
いるのに、社会秩序の安定のために必要とか、なんでそんな呑気なことが言える
のか、私にはさっぱり分からない。
　この脱走兵のように、牢獄は決して罪を犯した人だけが入る場所ではない。も
し家族が殺されたら、と言う想定はするのに、なぜ「何の罪状もないまま突然言
われなく投獄されたら？」と言う想定を誰もしないのか。まさにクルーズ客船に
突然閉じ込められた乗客は私の想定したような状態だったのではないか。
　とにかく、私は最近の風潮ではなく、歴史に基づいて死刑廃止を求めている。
そういう思いを新たにする有意義な映画であった。たとえ周りにネクタイを締め
た観客が誰もいなくても、私は死刑廃止派だ。

http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000411