bullshit job

　最新の現代思想は「コンプライアンス」特集。自分の場合、IT 系だと個人情報、
機密情報を様々な場面で扱うため(実際にはほとんどダミーデータを使うのだが)、
とても神経質だ。
　そのことも問題だが、本題は仕事そのものについて。
　よく、「お客様に喜ばれる仕事がしたい」と言う。それは、接客業みたいに、
自分もお客様の立場になるような場面が容易に想像できる場面なら良い(しかし実
際には、接客業ほど今日、避けられる仕事はない、モンスターカスタマーの出現
で精神的に疲弊する仕事と言う認識が今日では一般的だ)。しかし、お客様が自分
が逆立ちしても理解できない業種なら、もうそれだけで大きなストレスだ。金融
システムだの、流通システムだの、、直接個人消費者の目に触れるところではな
いシステムは、まずその仕組みを理解するだけでひと苦労。
　そして、そんな仕事=bullshit job が、実際のところ世の中の仕事の大半なの
ははなせだろうか。プロスポーツ選手、芸能人、漫画家など、ダイレクトに人々
の心にリーチする仕事に関わる職業はごく一部(もちろん、裏方も大半は私と同じ
ように、システムのなかで動いている)しかなく、大半が裏方で意味の分からない
システムの部品のような業務に携わっている。
　つまり、本当は生きている人をすべて養うことは現実的に不可能であり、バー
チャルな仕事を作り出してなんとか経済を回している、というのが事実ではない
のか。自動車や交通機関がなければ、自宅のため近所で仕事をすればいい。そし
てそれは、会社でやるような仕事ではなく、すべて衣食住に直結する第一次産業
であるはずだ。
　今日の、複雑極まりない産業システムは、経済活動を行うだけで、それだけで
十分に環境破壊であり、人間破壊である。水を運んだり、火を起こしたり、そん
な原始的なタスクしか、私は「本来の仕事」ではないのではないか、というのが
強い疑念を抱いている。